自然体験/
朧月
指先でティーパックのお茶を振るとき
私は目の前に広がる茶畑を見る
小さなパックの宇宙に広がる緑を見る
半円形のそれは
ぴかぴかと光を反射して
まだ朝露もまあるく転がっている
乱暴に急いで描き出したくて
そのくせ閉じこもった世界の坂道に安心する
のっそり歩くイモ虫みたいな
足取りで居間へ進み
お茶をすする
畑ではない私のソファーに
緑ではない桃色のクッションに
もたれかかりながら
地球温暖化についての新聞記事を読む
それが私の自然体験
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