許せない春/いとう
チさんを釣り上げると
ふと、気が向いて
釣り上がったミチさんをティッシュで包み
その場で潰してしまった
黄色い液が多少出て
少し臭ったが
手を洗ってそれで終わり
のはずだったが
次の日、起きると大量の、
(以下想像どおりなので略)
春、と言ってもまだ薄ら寒い日
私は瓶に閉じ込めたたくさんのミチさんの中から一人
ピンセットで取り出して
窓を開け
解き放つ
ミチさんは風に乗って空を漂い
そのままどこかに消えていく
その他の
閉じ込められたままのたくさんのミチさんは
それを見届けるといっせいに
私を見つめて何か言いたそうな顔をするが
そのうち諦めて
もぞもぞと動き始める
閉じ込められた
瓶の中で
少しやるせない様子で
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