フリクション/瀬崎 虎彦
 
さざなみがさらっていった

いつしか悲しみが
すべすべとした滑らかなものに
変わっていくように

すこし冷たい雨が研いでいった

行き先を見失うときはいつでも
はじめに心をひらいた場所を
思い返すのが良いと

君の中にもぐっていった

体をこすり合わせると
そこにはロマンティックなものはなく
剥き出しの生だけで会話をする

フリクション
戻る   Point(3)