フリクション/
瀬崎 虎彦
さざなみがさらっていった
いつしか悲しみが
すべすべとした滑らかなものに
変わっていくように
すこし冷たい雨が研いでいった
行き先を見失うときはいつでも
はじめに心をひらいた場所を
思い返すのが良いと
君の中にもぐっていった
体をこすり合わせると
そこにはロマンティックなものはなく
剥き出しの生だけで会話をする
フリクション
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