麓/ミネ
まよいあぐねてたどりついたは
もりよりふかくかくれた麓
かわやきやはたけがありのままにほうちされ
わきみちにあるふるいじぞうがぶきみにほほえんでいる麓
そこの麓びとらはみないんきにこちらをみやる
としよりもみないんきくさくわらったりする
こころがせまいのではない麓がせまいのだ
そらだけがひらけているので
やまとやまのあいだがどうしようもなくせまいので
いんきくさくひかりかげっているのだ
こみちにはおだやかなかぜがふくようであるがしかし
しずけさのます麓のみちにかぜはつめたくふきぬける
わたしのかたやこしをなぞり
においをかぎつけたいぬのようにそってとおる
わびしみのよう
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