忠実な風/プテラノドン
 
あなたは床で眠りつき、
目覚めると地面の上。

―蟻に取り囲まれている。蠅も追っ払い、
口の中から蜘蛛の巣を吐き出す。ペッ、ペッ!

ここまで担ぎ込んでくれた風は
洗濯物のシャツに袖を通す。
そうすることで自らを洗濯する感じで。

かつて僕は無人島に一番乗りでやってくる生き物が
「蜘蛛」だと聞いた時、雲と勘違いした。
祖母は、田んぼで拾ってきた雲雀に蜘蛛を食わせようとしたが
結局そいつは食わなかった。二人の間で雲雀は
雲を食って生きることになっている。

そして今、昨日の強風でひっくり返った鶏小屋を
祖母に命ぜられるままに木づちでぶっ壊している。
むかし祖母が、そのうち風がひっくり返すから
まだ壊さなくていいと
言ってから二十年近く経った今日だ。
とはいえ、当時の僕の力では
こんな派手にぶっ壊せなかったはずだ。

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