going to the moon/チアーヌ
 

 男の子は下りて来た紐に捕まって、天空へと吸い込まれてゆき、やがて見えなくなってしまいました。
 そしてふと気がつくと、九体の阿弥陀如来像も、すでに何ごとも無かったようにもとの場所へと戻っているのでした。
「さて、お姫様。あんたも帰らないと」
 烏天狗が表情の無い顔で言いました。
 姫君は満足気なため息をつき、烏天狗におぶさりました。
 そうして姫君は烏天狗の背中に乗って、月へ向かってどこまでも昇っていきました。

                               






戻る   Point(1)