aTo/イシダユーリ
 

きみは
ただの
がらくたになって
すてるしかなくなる
すっかり
ほこりかぶった
おまもりみたいに
すてたいけど
すてられないものに
なる?

すっかり
流れ去ってしまった
赤い鳥
空は
いつも遠くで
鳴りわたる
うでを
ひろげて
まえをはしっていく
きみが
うえまつげと
したまつげ
くっつけて
おもいだしている
ばらばらの
風景のことを
あたし
しらない

すっかり理解しているんだ
にげていくんだなあ
にげろにげろ
って
さけんでいるんだなあ
おっかけながら
にげろにげろ
すっかり理解しているんだ
あたしのいちばんしたいこと
きみがいちばんいやがるってことを
すっかり

きみが
あたしのものに
ならないってことが
こころのそこを
こんなに
ひやすなんて
しらなかったよ
あかい
あかいもの
ながれている
からだに
あかい
あかいもの
ながれているのに
こんなに
そこが
ひえきっている
きみのことを
ほしい
といって
凍っていく

戻る   Point(11)