終わりの音/朧月
 
もぐっていたのに起こされて
携帯電話の音でした
向こう側からきこえてる
終わりの知らせの音でした

冬きたりなば
春です 春 が来ました
花です 花 が咲きました

夢の中で溺れている私
泳げなくなったのは あの夏の日に
溺れたからです
湖で溺れた私 
の映像が流れてきます

水中で しっかりと開けた目に
無数の泡がみえました
目の中に泡がありました

カラダ中が水にとかされる
水が カラダになる
前に 空中にあった私の顔

太陽がありました
熱い 太陽が私の顔の前に
じりじり と水をとかして

潜っていた
あの日から ずっと潜っていた

起こされました
携帯電話の音でした
終わりの音が したのでした


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