終わりの音/朧月
もぐっていたのに起こされて
携帯電話の音でした
向こう側からきこえてる
終わりの知らせの音でした
冬きたりなば
春です 春 が来ました
花です 花 が咲きました
夢の中で溺れている私
泳げなくなったのは あの夏の日に
溺れたからです
湖で溺れた私
の映像が流れてきます
水中で しっかりと開けた目に
無数の泡がみえました
目の中に泡がありました
カラダ中が水にとかされる
水が カラダになる
前に 空中にあった私の顔
太陽がありました
熱い 太陽が私の顔の前に
じりじり と水をとかして
潜っていた
あの日から ずっと潜っていた
起こされました
携帯電話の音でした
終わりの音が したのでした
戻る 編 削 Point(2)