スクイズ/
小川 葉
限りない世界だと思っていた
生まれた家も
家の外も
知らない道を迷っていた
草ぼうぼうで
怖いから家に帰った
ものごころがついて知った
そこは近所の球場の
外野の土手なのだった
四十過ぎて
また知らない道を
迷っている
そこは三塁ベースなのだ
スクイズしたら
迷わずホームへ走れ
六十過ぎた
僕がきっと言うだろう
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