この部屋に海はありません。/あぐり
{引用=
縦にいっぽん白い線のはいったおなかが
すこしずつふくらんでいく春です
わたしの下着が汚れずにいたから
とてもとても不安でした
赤いものを疎ましく思っていたはずが
今はほんとにそれがほしくてたまりません
ベッドの下には浅瀬ができている
ひたり、ひたりと足を浸けて
朝焼けのなかでひとり立っている
くるぶしに打ち寄せる波の
その中でゆっくりと膝下まで下着を降ろしていく
(そっとピンクの剃刀をとりだしてみたんです
あんまりにもするどすぎるからって
じぶんでも怖くて隠してたピンクの。
左手首は冷えていたからそっと、
あたたかい光を描いてみる明
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