「名」馬列伝(17) エイダイクイン/角田寿星
 
転換であった。
なかでもエリザベス女王杯、最後方から直線だけで3着に追い込んできたレースは圧巻だった。
上り3ハロン33.0秒。当時の京都2200mでは破格の末脚である。
だが、次走の阪神牝馬特別で故障発生。
鞍上の二本柳騎手は彼女の異常に気づき、追うのをやめた。隠れたファインプレー。
ボルトの入った右前脚の、浅屈腱不全断裂。惜しまれながら引退した。

過ぎてしまったことを「たら」「れば」で語るのはよくないことである。
しかし彼女の場合、桜花賞での骨折がなかったら、あるいはオークスに出走できていれば。
彼女のみならず、例えば種牡馬として成功できなかった父馬の評価は違っていたかもし
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