酒場での一幕(愚痴)/pur/cran
 
すぐさま物事に取り掛かれたときなどが、これにあたる。だがそのあと、その仕事を見て彼は何というか。壊せ、と、こういうのだ。造り上げたものを壊せ、と。そしてすぐ、また気まぐれに他のものを造れと命じる。すると、それはとても時間がかかったとしても、いずれはなしにされるのだ。
 どうしてかということを、わたしたちはもう既に知っている。完成することを恐れているのだ。形になることを恐れている。つまり、時の支配下に置かれ、時間が流れるにつれてぼろぼろになっていくこれらを、彼は憎みながら恐れているのだ。彼の主人である時の跡を、完成する前に見てしまうからである。われわれは辟易して今では言葉もないが、これが今の上司なのである。わたしたちが覆し得ない上司は、この狂った思考に憑かれたまま、今でも時間への報復を狙っているのである。無力な、しかし彼についていくしかないわたしたちを部下に従えながら。
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