電話口/
メチターチェリ
声 その声を聞きたくて
今教わったばかりの番号をダイヤルする
そして 櫛を入れた洗い髪のように
柔らかな声がぼくの元に届いた
話すべき言葉なんて
用意していなかったので
ぼくは余りにぼくらしく どもり どもり
きみへの言葉を紡いでゆく
受話器からもれる吐息の感触のその奥に
はじける笑顔を想像しながら
「明日もかけていいだろうか」
そんな科白を片手に持つぼくは
きみとはなす大事な時間を満喫しながら
その終わりを予感してしまうんだ
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