かならず蛙/水町綜助
しませんが
ただ
まだ歩いていません
あり得ない色をした大地を
いびつな木々を
その奥で老夫の顔に刻まれる皺を
そこに染みる汗を
群生するグラスを
取り締まる法もない
置き引きも
すりも
火事も
あらしも
地鳴りも
津波も
スコールも
ピラニアも
くまも
ぼくの知るものはぬいぐるみだし動物園でねてる
そんな寄る辺ない
あるとすれば
友愛とかそんなことしちゃかわいそうだとかだいじょうぶ?とか、そんなようなもの
そのアウトラインをなぞり
歩いてみたい
東京
名古屋
ぼくの日常
そこにたしかにあるぼくの好きな人よ
ぼくがそれを見ることをゆるしてくれるか
ぼくはかならず帰るから
げこり
戻る 編 削 Point(10)