旅立ち/朧月
 
シャープペンシルの頭をがしがし鳴らしながら
星のドアをがんがん叩き壊す
中にいる 理想論者を引きずり出してゆく

空にいれば安全などと思うのはまだ早い
道を踏みしめてゆくために人数が足らない
夜明けまでに もっともっと
踏め 黒土の道を

浅瀬で溺れそうな
軟弱なうたをうたうな
エラ呼吸もできぬほど きつくうたおう

魚の目は 訴える
海は汚れすぎていると
ヒトの心だって 負けないほど
汚れてるなんていい訳しないでくれ

シャープペンで行ける範囲の旅にでよう
今すぐに旅立とう
君も連れてゆけないから
星の中で待っていてくれ

黒土はどろにまみれて
足の裏を汚しているけど
その分 あったかくしてくれるから
黒を目印にゆこう

そのうち正義や不正のドアも
きっとあるから 開けないほうがいい
中からなにかきこえたとしても
シャープペンを鳴らしてきかないで歩くんだ

描こうなんて おもっちゃいけない
かけるなんておもっちゃいけない
一本ひければ 上等なんだから
きっと 人生の生って 一本の線なんだから


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