朝へ/こしごえ
 

果実はさやかな絶望をうしなった
あの日
果物ナイフの反射が映る
ひとみの淵にひとり青ざめている
またたきの一瞬
すべてを打ちよせた波に
月光はさえかえる
とうとう真夜中に

あれくらい約束を
まもる遠さは居なかった
消えることのない影の温度だ
おもい出は再び目覚めなかった
もはや、これだけだ
光よ!

かたくとじられた
まぶたに映る
暗黒のとりがとびたち
いついつまでも暗く種子を
みおろしている
ご存じでございましたか?
        ご存じより

今夜も星がみえるよ
みているかあなたも
地表のぐだぐだぐにゃりを
いつかの反射は
研ぎすまされるばかりに
ギラリ
冷たく果実を刻む
朝日のさしこむキッチンで








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