逃飛行/木屋 亞万
 
キンと寒い冬に
凍りついてしまった僕ら
日差しが柔らかくなって
何もかもほぐれてしまう前に
北へ逃げよう

太陽が東から昇ってきたら
銀色の瞳は火傷してしまう
西へ西へと逃げ続ける
つめたい夜も、蒸し暑い夜も
君のフレアスカートはずっと濡れている

僕のシルクハットから
鳩がずっと出たがっているから
君に改めて挨拶をしよう
眼鏡をはずすだけで
こんなにも一人ぼっちになる世界で
言葉を投げ合うことはとても大切さ

性的機械の稼働する音がする
今すぐ耳を塞いで逃げ出さないと
僕らの欲望まで巻き込まれてしまう
カッターシャツのボタンが一つ
またひとつと地面に
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