あれが犬飼の式王子/a
 
(1)

弾力に富んだ餅を
下部で切断する図柄を見ながら
計算ドリルを解く

もうやらなくていいはずなのに
能力の検定に追われ
並行処理で時間を間に合わせるのは
やるべきことをやらなかった劫罰のため

劫罰をキャクバツと読む他人の耳元で
ゴウバツと正しい発音を教えて
漢字に詳しいと買いかぶられる

あれが犬飼の式王子
あれが犬飼の式王子

(2)

佐々成正のさらさら越えを
八月のさなかだと勘違いして
衆人の前で恥をかかされる

もう少し能力が高かったはずなのに
実績の不足を危惧し
不本意な部署を選択するのは
可処分人生の配分をあやまった桎梏のため

桎梏をシコクと読んだ自分の目前で
シッコクと正しい発音を告げられて
漢字に疎いと侮りを受ける

あれが犬飼の式王子
あれが犬飼の式王子
戻る   Point(1)