放課後/朧月
僕らは
どうでもいいんだけど と言いながら
また大事な話をはじめる
ときおり必ず眠いと言いながら
タバコなんてやめたいと言いながら
コーラが
約束事のように置かれている
ポテトが トロフイーみたいにたてられている
BOXとよぶ 僕らの世界は
守るためにあった 僕らの城
大人と呼ぶ敵を
見下すことが条件でさえあり
裏で服従するのが 当たり前だった
どいつもこいつも
顔色をみる能力者でしかなくて
心理なんて わかりっこない
涙もろいのも テキストで学んだ とおりの
頬の動かし方で 泣く
指先が器用だから 愛もそこで語る
土手にはえた 雑草を踏みながら
こいだ自転車の前カゴにいれた
僕と君の将来の夢は
急にふいた春風にとんで
永久にもどってはこない
僕はグランドの隅っこに君を待たせ
裏口から 帰ろうとしている
BOxでは 今夜も重要な会議がはじまるから
メール音がなればそれが 合図
君がこなくても始まるはずで
僕たちはそうやって 何度も
そぎおとしながら 自分によく似た自分を探している
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