琴線/
山岸美香
無数の声が、言葉が
手のひらが、指先が
情報のかたまりになって
突き抜ける風のように押し寄せる。
いつも。
その中で、握りたいもの
握ることが許されるもの
もっとも、線の細い私は
一人が好きで
よく飽きてしまうのだけれど
やはりどこかに
あなたを置いておきたい
揺れない琴線は
音を奏でない琴線は
ひどく無意味だ。
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