きみに届くように/あぐり
 
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声高に
きみに言おうか
あいしてるって
それからすごく、痛いんだって

夢の底ではいつも誰かがわらっていた
ふつり、と水泡がわたしの口から漏れていくのだけれども
ここからはそれが浮かぶであろう水面は見えません
小さくまるまって
誰かがわたしを責めるのを待ってる

金魚草に絡む指を
眺めるだけの眼差しで
今朝もきみをみつめていたんだろうか
わたしの眼はちゃんと
きみにぬくもりをあたえられているんだろうか
わらっているんだろうか
あいせているんだろうか

(怖い、怖いよ)

冷え切ったからださえも
きみのかなしみには及ばないんだろう
わたし
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