尊さのその先/
小川 葉
まだ生まれていない
君を心配してる
生まれたら
誰も経験したことのない
君の人生が待っている
君が君であるために
僕は何度か死にかけたことがある
鼻先を
時速百キロの車が走り過ぎたり
屋上で足を踏み外して
落ちそうになったり
君も今
運命に身を委ねている
電車を乗り継いでも
辿り着くことができない
遠いどこかで
存在はいつも儚い
尊さの
その先にあるのは
いつも命だった
明日
生まれるとしても
死ぬとしても
君の名を
呼んでいる
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