自殺志願/攝津正
 
あれぬが故に自虐するのだ。そういう心理はよく自覚していた。だが自虐をやめることはできなかった。ふけを掻きむしり頭皮を傷だらけかさぶただらけにするのをやめられないように、自虐をやめられなかった。それが私、攝津正、ということだ。
 生きるのは本当に辛く厭わしかった。本を借りてきても数行も読めない。できるのは音楽を聴くこととインターネットくらいで、それも中途半端。私はそんな自分が嫌いである。といって、自分を積極的に変革、進歩させようとも思わない。改善しようと思わない。それが原因で幾人かと絶交もした。私の向上心のなさが他者を嫌がらせたのである。或る人は惰民の友達などいらないと言ったが、私は心底惰民なのだ
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