さ もん/イシダユーリ
 
こいびとは
ずっと
眠っている
こころを
腫らしながら
そこには
あらしのような
晴れ間が
ある

そこにだれがいけるの?

ずっと ひとが いない

彼女たちが
つよく願った
からだは
かたく透明な
ガラス瓶のなかを
ごうごうと
ながれおちる
滝のような
血流

彼女たちは
つよく願った
ごうごうと
口ずさんで
決めた
かたいからだが
地面に
叩きつけられて
割れる
こと


ずっと ひとが いない

本当のことを
教えてくれない
本当のことが
わからないから
滝に
うたれているものは
ない
そこを

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