時のスープ/朧月
物思いにふけるために台所にたつ
たくさんの命を切り刻みスープをつくる
どれも円
どれも丸い命の切り口を
直線の刃ですとんすとん
と切ってゆく 想いはだらだらと続くのに
炎はまあるく見えている/オレンジの温かい
椅子はそこにあり
私の足はついており
心は どこにあるのか触れない
れいぞうこ
ふいにつぶやいてみる
そこにもたくさんの命 眠る
静かな陶器のような夜
ぶーんと回る換気扇だけが
時を追いかけている
視線は 探しているのだけれど
きっと掴まえることはできないだろう
スープの上澄みを見つめながら
今日の終わりに立ち会って
明日は明日と
そう口にだすことで 今日を終える
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