鳥の声/やや
 
空に墨を塗ったら
穴に住んでる鳥が鳴いた

「病気はどこにでもある
赤い熱は誰もが持ってる
だから苦しまなくていい」

やさしい言葉をかけたいけど
フェルト生地ばかり重ねて
尖った万年筆が光ってる

難しい言葉で人を沈めるのは簡単だよ
文字の海に突き落とせばいい

でもそうじゃなくて 私は
絵本を作りたいと思ってる
そう言うと彩色が笑った


遠くで穴の鳥が鳴いてる
不思議なほど透き通る声が
消えかけた青空を駆け抜ける

「まだまだあがけるだろう
居場所なんてどこにでもある」




私は
それを聞いてとても悲しくなった
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