だから、さようなら/あぐり
 


さようならを二回いった
一度目はさよならっていった
くちびるの端で酸素よりかるく、さよなら、って
昨日の二度目のさようならは
きみの眼に沈むぐらい深く、さようなら、っていった


(きょうからぼくはなにももとめない
ささやかできめこまかな泡になって
ふつるふつる
たちのぼりはじけてはまたしょうかされていくだけの泡になって
きょうからぼくはなんにももとめない
ただたちのぼるだけの泡になって
ふつるふつる
しょうかされていくだけの泡になって)              


だからきみに
二回目のさようならをいった
苦しいくらい花が香るそんな春の夜だった

さようなら、
さようなら、

背を向けたあとにもういちどぼくをみつめたきみの
そんなさみしさもぼくはもうもとめない
きみの眼に沈むぐらい深く、
さようなら、っていった



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