情事/
智哉
白いシーツが真っ赤に染まっていた
下腹部を同じく真っ赤に染めた男
その血は横たわる女の経血だ
突然電話が鳴りだした
男は携帯に応答する前に
人差し指を立てて唇に当てる仕草をした
女はその意味を理解した
なぜか涙が零れたが男は気付かない
自分のモノではないことを思い知り
今の瞬間に終わりしかないことを思い知らされた
外は風か強くなり雨が窓を打っていた
今夜は月経を理由に夫を拒める
そのことだけが幸せだった
戻る
編
削
Point
(0)