夜深し(副題:コメトラ)/やや
 
初期設定を間違えたと嘆く喜劇
闇雲に走る競走馬は、悲劇…



真夜中に黙って座る部屋の中では
多角的な視点など偽りです
沈黙と同じくらい聞こえてくる喧騒の
どちらが本物かは分からない
怖くて歌を歌っても
掠れる声を押さえ塞ぐ

自分を取り囲む見えない怒号の正体
それに名前など付けたくなくて
嘘。
本心は付けたくて付けたくて付けたくて付けたくて
名付け親は探さないけれど
心の中では名前を決めてある
でも一生、呼ばない

知った事実は全て
後付のアイデンティティになって
偽りの過去を彩っていく
どう足掻いたってここには過去しかないという悲劇は
周りか
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