わたし、という/みい
1. 父
自分で名前をつけたくせに
なんで
わたしの名前も
呼べないの
笑いながら尋ねると父は
つられて笑うのです
真剣に
それから、突然
他人でさえ覚えているのに
と言ったわたしを
ぶちます
ふと
記憶の男が
お前のせいだと言うので
わたしは救われるのです
2. 確認
わたし、透けて
必死に
抱きしめようとするあなたを
ごめんなさい なんかで
埋める夜
あなたの体を
文字化けさせたのは
わたしなのです
いっこいっこの文字をなでながらも
あなたの声は溶けてしまって
わたしはやっぱり
透けるだけで、けっし
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