生誕/寒雪
今日、私はとうとう
生まれてきてしまいました
体を守るための
覆面やボディスーツもなく
己の身一つで
生まれてきてしまいました
日一日過ぎるごとに
私の体に小さな傷が
大きな傷が
螺旋をまねて
増えていきます
痛みを感じないのに
頭の中が
卵を割ったように
痛み続けます
銃創が増えるたびに
炎が揺らいでいきます
汚物が撒き散らされるたびに
瞳が光を失っていきます
私は、生まれてこなければよかったのでしょうか?
知りたくもなかった
皮膚の下に隠れた
歪んだ筋肉が
口を開いて薄ら笑いを浮かべ
月夜の下
手招きしているのでした………
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