5%のダイエット/小川 葉
 
 
 
正確な数値はわからないけれど
たぶん5%くらいになったあなたの体が
目の前に横たわっている

よほど熱かったのか
素手で触れることはできなくて
箸で摘まんでいる

かつてあった体長ほどの箱から
両手で抱えることができるほどの小さな箱へと
あなたの体は収まっていく

休日、遅い朝食を食べるとき
炊飯ジャーの中に
あなたが食べなかったご飯がある
子供の頃は怖くて食べなかったけれど
ある日筋子をのせて食べてみたら
おいしかった

命から切り離された
食べることを必要としなくなった
あなたの代わりに食べている

おいしいものを
食べさせてあげたいけれど
あなたは
永遠に食べることをしない
 
 
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