3席1夜(終話)/まきび
 
 リルは結婚することにした。悩んでいてもしょうがない。明日には明日の風がふく。半年も悩んで答えが出なかったなら、あとは思い切りやるしかないのだ。

 リルが長年卑しい親父と関係を持って手に入れた中野区の小さなマンション。2DKの部屋には細々とした雑貨や、手紙類等、必ずしも生活に必要ではない物が、さも絶対そこになくてはならない物であるかのように部屋中に置かれている。撒き散らされているといったほうが実状に近い。

 これから式の日取りを決めて、なんやかんやそれに伴う雑事をこなして。私、マリッジブルーなのかしら、なんて思うことで幸せを噛み締めることができるのだろうか。リルは酔いの抜けきらない頭を
[次のページ]
戻る   Point(0)