Pretender/寒雪
気まぐれに
財布の中に余っている
一円玉を
四角い箱の中に
ごみを捨てるように投げ込む
世界を救出したヒーローのように
小銭の無機質な響きを
慈悲深い顔に刻み込むおまえ
10円にも満たない額で買える
おまえの偽りな免罪符
羽毛布団で惰眠を貪り
決して起き出してはこないというのに
依然として
頭の外では
見捨てられた魂が
行き場を失ってもがきさまよう
そんな光景も
おまえには見えはしまい
瞬間の連続は
おまえを永遠のスターに
のしあげることはない
それでもおまえは
自らの手に世界を握ったと
勘違いしたまま
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