食卓で泣いた日/
瑠王
今日の夕食は、牛のステーキだった
レアにしろ、ミディアムにしろ
それはもう食べ物にしか見えなかった
それはほんの少し、葡萄畑の匂いがした
僕達は一瞬だけ、目一杯の緑
風を感じてしまったのだ
君は動揺してナイフを落とした
君が落としたナイフが空を切り裂いた
僕が拾おうとすると
君は゛いいの゛と言って泣き崩れた
僕は動揺してフォークを落とした
僕が落としたフォークが大地に突き刺さる
そして一緒に食卓で泣いた
葡萄畑の匂いで、溢れていた
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