時間の定義/葉leaf
。大学の文芸サークルの初めての会合のときだった。田島は、静かな異物として、周りの人間すべてにとって他人であろうと雰囲気を押し殺しながら、それでも、燃え広がる刃物として、誰か他人でない人を探そうとする挙動を鋭く見え隠れさせていた。だらしなく伸びた髪、年寄りじみた眼鏡、神経質な空気、それらすべてが、真剣な猫のように幼く、陽を誘う船のように希望に満ちて、塗布される消毒液のように文学による浄化を求めている、田島の一個の人格と肖像と世界とを私の中に発生させた。「はじめまして。」
田島と私は、真摯さや友愛の点において共通の回路を抱き、夢幻やもろさの点において不足する色素を与えあい、情熱や固執の点において境
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