Low/寒雪
静寂が森の中にしみわたる
そびえ立つ針葉樹が
月の顔色を隠してしまう
オレは一人
さまようでもなく
叫ぶでもなく
ただ、自らの意識を
低く、低く、低く、
目線から逃れるように
低く、低く、低く、
オレが朝を思い出せなくて
この森は夜に包まれる
ここはオレの森
オレの景色
精神を高邁に
何とかがんばってみた
でもこの森のように
オレの精神は
低く、低く、低く、
こんなとこにいたくないんだ
切り株を見ても
方向すら分からない
せめて月の光が
オレの体を照らしてくれれば
でも、現実世界は
低く、低く、低く、
静寂がオレの心にしみわたる
誰も訪れるはずもない
オレ一人
森の中に置き去り
動こうとすると
足が地中に根を深く
やがてオレは森と同化していく
薄れゆく意識の中
オレの魂は天に召されず
低く、低く、低く、
消え去っていく・・・・・・
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