古い知人/小川 葉
 
揉み続けている
僕かもしれない
誰かの肩を
誰かかもしれない
僕の肩を
揉みながら
揉まれながら僕も気がついている
五年前に会った時よりも
年老いていることを
声も顔も
話し方も大人びていて驚く
その隙間に見え隠れする
かろうじて
変わっていない部分だけが
古い知人であることを
証明している
肩を揉み終えた古い知人が
知らない人と話すように
あれからのできごとを
話し始めている
 
 
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