依存的捕食/真紅
 
物を口に運び

私はそれらを噛み砕く

歯と歯の間で

感触のあるそれらが

薄く伸び、千切れゆく

食すという快感に私は浸る

生物としての務め

行動のための補給

なんと崇高なる時間だろう

胸が躍る

私はまたそれらを口に運ぶ

時折、リズミカルな咀嚼をし

それらを惑わし、それらをいたぶる

私の力で粉みじんとなった彼らが

喉の奥へと吸い込まれる

その時の

あの

なんとも言えぬ

快楽と断ずるには少々ありきたりな

征服感とも言えるあの感情

このときだけわたくしは

世界のてっぺんにいるのです

どうぞ

邪魔などなさらぬように

薄いカーテンを閉ざしてあるのは

ちょっとでもこの時間を長くしたいという

わたくしの小さな反抗心なのでございます
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