ぼくについて/寒雪
ぼくは
昨日打ち捨てられたベニヤ板と
同じく
名前がない
ぼくは
明日踏みにじられる雑草と
同じく
名前がない
名前がない
ということは
別に
それほど大きな問題じゃない
誰かの名前を拝借して
きみたちの中に入っていけば
すべてオッケー
にじり寄る
恐怖の隣人は
ぼくだということもありうる
名前がない
からといって
別に
ぼくが
消え去る理由にはならない
気がつくと
視線の端に
相変わらず
ぼくはいる
きみの思念が
ぼくという
ひどく不安定な存在を
打ち消そうと
修正液を持ち出したところで
ぼくは確かに
いる!
名前がない
ということは
逆に
ぼくの強みだとも言える
想像出来ないかもしれないが
そうゆうこともありうるのだ
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