魔法の絨毯/楽恵
 

口笛を吹いて、絨毯を呼ぶ
輝く絹と金糸で幾何学模様に織られた、翡翠色の絨毯
絨毯は主人である僕のもとにすぐさまやってくる

魔法の絨毯に乗り込むと僕は
月夜の花に埋もれて眠る
君の夢の中を
風を操りながら自由自在に飛びまわる
カシオン山に抱かれたダマスカスの都から
メディア人の古代王国まで
翼を持ったあらゆる種類の鳥たちを支配する

空は、青い薔薇のような空だ
雲ひとつない紺碧の空だ

君の夢は、雨も虹も知らない青い空

頭にターバンを巻き、黒いマントを翻して
僕が魔法の絨毯で君の夢の中を飛ぶのを
円環する太陽の炎だけが見つめている

見渡せば遥か彼方
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