春待ち蝶々/古月
 
屋の軒では子猫が生まれた(かわいい)
見て、
頬を塗る子の林檎病みたいなのが
跳ねるの尻尾の生えたような
見て、
生まれて一度も切ったことのない
長い長い髪を切ったのよ
そしたらそこから先は簡単で
続きは滲んで読めなかった

あちらの通りにもこちらの通りにも
切り紙の蝶々が落ちていて
お母さんにとっていい、と言うと
お母さんも紙切れだった
そういえば暖かな陽気ですねと
えりを立てて歩く私にも
ねえ、
鋏があれば春がくるのでしょう
またお嫁に行く姉さまのように
ねえ、
みんな桃の枝を折るのに夢中で
蝶々が踏まれるの誰もしらないの
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