春待ち蝶々/古月
 
あちらの通りにもこちらの通りにも
切り紙の蝶々が舞っていて
お母さんにとって、と言うと
あれは冬をつれてゆくのだと言う

ところで
だめになることを蟄居という
たまたま螺子の加減がね、どうかしらして
金銀と降る紙吹雪を拾っては撒き拾っては撒き
雨戸のうちはいつも雨降りで
お皿酒びん時々かみなり
いいえ、包丁は料理をするための道具です
うそうそうそうそ嘘ばっかり
私見たもん
そう
たくさん本を読みまして
まともな大人になれませんでした
二階の窓から餅を撒くおばあさんが
ひとり拾って食べている

さて
目抜き通りにはちんどんちんどんと賑やかなのが来て
肉屋の
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