いたばさみ/あぐり
 
時は わたしの指を噛み千切ってしまえ


描けなくて泣くことよりも会えなくて泣くようになったわたしは、わたしは


純粋な恋をしているつもりです。 色にまみれて綺麗に汚れた


この先に何もないと言われても だから今は描いていたいの


この恋に何も重ねはしないから この絵にあなたも重ねはしない


一言、ただ一言くれるなら、「この絵、好きだ」そう呟いて、お願い。


髪の毛を撫でてるその手の重み感じ ほとり、と落ちてくわたしの強さ


怖くて哀しくて寂しくて痛くて それでも画面の前には、ひとり。


それでもさ、どんなに絵を愛しても わたしが眠れる
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