言うまい/乱太郎
 

海と陸に幾つもの水爆が落とされて
夕日が消えてしまった

森林が砂塵に帰して
息が止まりそうになる

人間が
スピンオフエイプの化石として
砂漠に埋められた

世界は焦土に食べられて平面な骨となり
暗闇から沈黙が
永遠に浮かび上がってくる


夢なのか
教えてくれる者は誰ひとりいない

もう君はいない
それは確かなことのようだ
もうろうと造った墓標を後にして歩きだす

瓦礫となった街で
コンクリートの破片拾い
アスファルトに刻んでみた

「君といた
世界はどこまでも美しかった」

朝日を探しにまた歩き出す


戻る   Point(13)