CALLME/ねことら
 


賞味期限のきれたストロベリージャム。
微熱の死骸。
口の周りをてらてらとした糖分で汚す。
(いきぐるしくて、それが誰のせいなのか分かりませんでした。)


やわらかなスプリングのベッド、あたたかな毛布は、ひとしくその部屋に欠乏していた。きつく背骨を抱くようにして、つめたい孤独の縁に体の線を重ねれば、すこしの間、まどろむことができた。


褪せた婦人雑誌。
枯れた観葉植物。
床に散らばったマニキュア。
CDのプラスチックケース。
薄いカーテンの向こうに降る、尖った粒の雨。


本棚には美しい装丁の図鑑がいくつも並べてあって、モノクロに満ちた世界を爆砕するために
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