薔薇のエスキース/小池房枝
 
だいたいは同じ形の
だいたいは同じ色をした
少しずつ違う大きさのものを
中心から外へと

奥に
手前に
はしを重ねながら互い違いに
重なりと重なりとの間隔は
徐々に広げながら

ひとつひとつの形はオーバル
水をすくうときの手のひらのように
見えない大質量星に撓んでしまった空間のように
大きなサラダスプーンほどの曲率
スープ皿ほどのふちの反り

巻いていくときには
内側から外へ
下のほうでだけはタイトに重ねて
フィクスして
上のほうではルーズに

きつく巻き上げたときの形は
紡錘形
ゆるやかに開いたときの形は
双曲線のカップ

上下に
あるい
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