Bibliotheke/10010
アも陽の翳す書架の下で埃に塗れて死んでしまった。あちらこちらでいくつもの書物から浮かび上がる文字の群れは確かに最期の時にもあの魔法の言葉を囁いていたのだ、魔法のための言葉ではなく。燃え盛る炎の中で、閃光が、それまで見えてはいなかった図書館の全貌をちらと垣間見せた。その名は蔵書目録にはなく、唯一のアレクサンドリアが繰り返し燃えているのだとわかったが、灰となって風に消えてしまった。
◇どちらの図書館を選ばれますか?
◆逆さまから見ると全く異なる相貌を示す絵というものがあり、そしてまた逆向きに読んでいくと全く異なる筋書きを示す物語もある。それらからなる絵本――
《正面を向いてベッドに腰掛けている、ぼくと君の間には絵本が横たわっていて、頁を君の方に捲ってもぼくの方に捲ってもいつまでも、ぼくと君とは自由です》
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