誰もいない公園には/中原 那由多
ジャングルジムでの遊び方を忘れたのは
威勢が良いだけの雄叫びが、もう通用しなくなったからで
不安定な足場で怪我するくらいなら
帰り道でつまずく方がカッコいいと思っていた
汚れを知らない白いスニーカーがないように
嘘をつかないで大人になる人はきっといない
だからあの日以来、ここへ来るつもりはなかった
逆上がりが出来るようになってから
何もかもが上手くいくような気がしていた
気の向いたままに鉄棒にぶら下がり
逆さまに見た雑草たちはもう
自分の未来を知っているのに
僕は尻餅をついている
埃っぽい部屋に隠してある
ガラクタという名の宝物
捨てれば前へ進めるのか
執着すれば後れをとるのか
揺れたままでは頭が痛く
古いブランコからはなかなか降りられそうにない
流れに身を任せることで気持ちよく
刃向かうこともまた同じ
滑り台はいつものように雄大で
この地球の営みのことを誰かに伝える為に
流線型は太陽熱を白くして待っている
誰もいない公園には
埋めた覚えのないタイムカプセルが眠っていて
小学生の下校時刻
誰もいない公園は夢から覚めた
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