心理/
小川 葉
家電に生まれて
気がついたことがある
わたしには声が無い
たとえば
ファンヒーターは
ファンヒーターであるために
温風を吐き出すことで
せいいっぱいだ
電子レンジは
いつくるかもしれない役割を
じっと待ち続けたまま
精神を集中している
それはわたしも同じだ
思えば思うほど
声をうしなっていく
人であるような
心理になっている
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